私たち一般の契約者の間には、生命保険=安心というイメージが擦り込まれており、大きな落とし穴があることに気付いていません。「保険外交員からの説明も受けた」「健康状態などについてもきちんと告知した」「契約書も隅々まで確認した」はずなのに、なぜ保険金不払いという不利益を被る方が後を絶たないのでしょうか。
生命保険に加入していれば、いざというとき「自動的に保険金が支払われる」という認識をお持ちかも知れません。高額な保険料を長期間にわたって支払っている以上、本来はそうあるべきかもしれません。しかし実際のところ、生命保険金は請求しない限り支払われることはありません。
万が一の際に、契約通りに保険金を支払ってもらえるように、担当の保険外交員とスムーズに連絡が取れる状況をつくったり、家族などの身近な方に生命保険に契約している旨を伝えておいたりする必要があります。なお、保険金支払いの請求権は3年で時効となります。葬儀や一周忌などを済ませると、3年という期間はあっという間に過ぎていくので注意しておきましょう。
もう一つの問題点が「約款」です。契約書などに書き込まれた約款のすべてに、目を通すようなことはないかもしれません。しかし、そこには生命保険金を支払わない場合の記載や、場合によっては契約者にとって不利になるような内容が記載がされています。
保険金が支払われない事態に陥ってから「約款に書いてある」と言われてしまえば、どうすることもできなくなってしまいます。できる限り内容を理解し、分からないことは外交員に質問することが必要です。しっかりと内容を確認し、納得した上で契約するようにしましょう。
三つ目の問題点は、私たち一般の契約者と保険外交員または保険会社との間の、知識・調査力の差です。保険会社は巨大な組織であり、保険・約款・医学などに関するプロフェッショナルというべき人材も揃っています。それだけに、一般の契約者にとっては、知識や経験、調査力などの面で、歯が立たつような相手ではありません。したがって、保険金の支払いの段階において、何らか問題が発生した際にも保険会社に有利な説明に終始してしまう可能性があります。
また、営業担当者は契約を取るために、「耳障りの良い」話をしますが、いざ支払いの段階になると、査定担当からは支払いができない(支払いをしたくない)理由ばかりを聞かされるという傾向があることも頭に入れておくべきです。後で後悔することのないよう、分からないこと、不安なことは徹底的に確認することが必要です。