生命保険会社によって設立された生命保険協会という業界団体には、生命保険の契約者をはじめとする消費者からの生命保険に関する相談や苦情を受け付ける、生命保険相談所が設置されています。
生命保険相談所には、2008年の1年間という短い期間に、全国各地から約8,000件に迫るほどの苦情が寄せられています。
それらの苦情のうち、生命保険相談所だけでは解決できない問題については、生命保険会社との早期の和解を目的に設置された、裁定審査会と呼ばれる部門が処理を担当することになっています。
ところが、実際に裁定審査会が利用されるケースは、全体の約1%の82件。さらに、裁定審査会を通じて和解に至った件数は、苦情全体の0.05%、わずか4件に過ぎません。
このようにして見ると、生命保険協会をはじめとする各機関には、紛争・苦情に対して有効な解決機能があるとはいえない状況がお分かりいただけるかと思います。それらの機関が十分な解決機能を有していない理由は、生命保険会社によって設立された機関であることも原因の一つとして挙げられます。
保険会社や保険商品に対して、「安心を保証してくれる」などと、過剰な期待をするのは禁物です。保険に加入する際には、より慎重に検討されることをおすすめします。